八月も終りになった。
信子は明日市の寄宿舎へ帰るらしかった。指の傷が癒ったので、天理様へ御礼に行って来いと母に云われ、近所の人に連れられて、そのお礼も済ませて来た。
梶井基次郎/城のある町にて
梶井基次郎/城のある町にて
『笑いの方程式』井山弘幸 著
松本君が彼を救おうと「こうなったら、あるあるさんとこの探検隊呼ばなあかん」と意味不明の言葉を吐いて、ポーズをとりながら「ドゥドゥビドゥビドゥバ、ハイ、ハイ、ハイハイハイ!」と掛け声をかけると、白眼を剝いていた西川君が起きて、二人並んで元気に両手を振って行進のステップを踏む。
アイデンティティを手に入れるには、どうしても他者が存在しなければならないことがわかる。
『じぶん・この不思議な存在』 / 鷲田清一