小さな幸福
高いヒールが、地面を蹴る。コツ、コツと響く高い音がくるりと跳ねては空気に溶けて消えていく。誰かと楽しく話すのも良いけれど、一人の時間だって案外悪くない。気が滅入る事の多い世の中でも、どれだけ口元を緩ませたって誰にも見つからないのは、割と、良いなぁ。お気に入りの曲を口ずさみながら夕焼けの中へと進んだ。
暇人
男はその日どうしようもなく暇だったので隣町まで歩いて向かっていました。道中、野良猫が語りかけます。「お前は狂っている」野良犬「お前が生きる意味はなんだ」野良豚「どうせ死ぬ」野良時計「時間なんて幻想だよ」野良地球「お前は一生奴隷だ」とうとう男は転んでしまいます。それでも男は言いました「住めば都だなぁ」
天気雨