「帰りたくない」
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「どこまでも逃げたいの、私も。
だから夏ちゃんが逃げたいって言った時、嬉しかった。本当は、帰らないでずっと旅していたくて、でも…」
私は何も言えずに、それきり嗚咽を始めた彼女の手を、強く握ってやるしかなかった。オルゴール調のメロディが帰りの時を告げていた。